二次関数の複雑な作問
実力テスト作成の際に考えたことなど。
二次関数の問題で、置き換えと解の符号の決定が絡んだ問題を作りたかった。
という形の二次方程式になる問題にして、1問目で変域をおさえ、2問目で具体的なmの値に対する解を求めさせ、3問目で4個の実数解を持つ条件を求めさせるようにしようとした。
満たすべき条件を以下のようにした。
1.の形であること
2.が簡単な(1桁程度の)整数解をもつこと
3.を満たすの値が、一方は異なる2つの実数、もう一方は異なる2つの虚数であること
4.,ただし、絶対不等式になってはいけない。できればが整数解をもってほしいが、簡単な平方根ならば含まれてもよい。ただし、ほかの2つの条件(軸、端の値)との大小が比べられなければならない。
2.について、整数解をとおくと、
ここでaを2の倍数として、とおく。
ここで、とする。なぜならば、pは整数、を整数とすると、となってしまい、になってしまうからだ。
といろいろやってみたが、うまくいかなかった。主な理由は、の近さである。
3.の条件を満たすには、の間にある程度の幅がなければならない。
具体的にどれくらい幅があればよいか考えると、
のとき、
の判別式をそれぞれとすると、
とすると、
整数を決定するには、の間に3ぐらいの余裕は欲しい。
さてここで、4.の条件を満たすことを考えると、である。ただし、の値によらず成り立ってはいけない。
の判別式をとすると、
4.の条件は、を正の数にしておけばある程度クリアできることが分かる。
いろいろ試してみて、とした。
このとき、
に代入して、
として、
とすると、
また、
つまり、
これでが自然な式になってくれているか、2.の条件を満たしているかを確認する。
とおいてある。ちなみに、xの係数が4なのは、頂点の座標を整数にしたかったからだ。頂点のx座標が整数でないと、t座標も連動して整数でなくなる。すると、tの変域に整数以外の数が現れることになり、これが最後の小問「○○より大きい異なる2つの実数解」という条件を考える際に支障をきたす。cに整数以外をもってこれば調整はできるが、そうすると最初に問題として与える式が煩雑になる。
手計算ということも考えると、xの係数は4か6あたりが妥当。
さて、と決定したので、
つまり
のときを考えると、
計算してみると、ちょうどいい値になってくれた。
最終的な問題は以下のようになった。
は定数とする。についての方程式について、
次の問いに答えよ。
(1) とおくとき、の値の範囲を求めよ。
(2) のとき、①の実数解を求めよ。
(3) ①の異なる実数解が4個であるように、定数の値の範囲を定めよ。
互除法の作問(フィボナッチもどきの利用)
互除法で余りが1になるまでの式の行数をコントロールしたかった。
作問の関係上、なるべく何の変哲もない数で、無限に生成できて、途中式の難易度もコントロールできるとなおよい。
というフィボナッチもどきの数列を考えることにする。
k=1のときはフィボナッチ数列そのもので、これは隣り合う2項の畳数がどんどん増えていくのだった。
k=2のとき、きちんと証明はしていないが、どうも互除法の計算式がループし、畳数がループするようだった。初期値の与え方によってループの長さは変化する。
で、いくつか数を変えて試してみたところ、
どうも、で生成される数列の隣り合う2項は、のとき、常に畳数3になるようだ。
一般項はである。
互いに素であることは簡単に示せる。
とする。に、共通因数が存在すると仮定すると、
と表せる。
ここで,から、各は奇数、なので、
は奇数、と表せる。
もの倍数である。
これを繰り返すと、以下の項はすべての倍数となるが、
これはに矛盾。
よって、は互いに素である。
さて、での畳数が3であることを示そう。
について、
また、
よって、
畳数は常に3である。
について、
また、
よって、
畳数は常に3である。
ゆえに、の隣り合う2項は畳数3である。
有理化の作問
分母が何項までなら有理化可能か。
ただしは互いに素とする。
3項の場合
2つの項をひとかたまりとして2項のときの有理化をすればよい。
大事なのは、このとき項の種類が減るかどうかである。
分母は2項になっているので、ここからもう一度2項の有理化をすれば有理化は完了する。
で、この部分の項の個数は変わらないが、残りがでcになるのでトータルで項は3項から2項に必ず減ることになる。
だから、心配せずに好きな数を選べばよい。
4項の場合
前半2項と後半2項でそれぞれひとかたまりとすればよい。
について、
なので、トータルで4項から3項に減らせる。つまりこれも常に有理化が可能である。
しかし、4項の場合は、分け方が悪いとループにはまる。
3項をひとかたまりとすると、
で、3項から4項に増え、残りのdを合わせてもトータルで4項から減らないので、終わらなくなってしまう。
5項の場合
分子を書くのは面倒な上に今回無意味なので、Aと置くことにする。
根号の外れた部分も面倒なのでまとめてCとおく。分母の真ん中に置くことにする。
5項から4項になったので有理化可能。
6項になると、うまくいかない。
3つずつ組にしても前半4項、後半4項、そのうちまとめられるのは根号の外れた1つだけなので、トータルで6項から7項になってしまう。
2項と4項に分けても、前半2項、後半は7項となり、結局8項に増えてしまう。
この話はの中が互いに素であることを前提としているが、含まれる項がという形になったりすると話はややこしくなってくる。
また、以外の式を利用して有理化ができる可能性はまだ残っている。
互除法の作問
「」のような問題は、に互いに素である整数を選べばいくらでも作れる。
しかし問題作成者の立場で考えると、それが「何行の計算で終わるのか」が重要になってくる。
互いに素である整数について、互除法をしたときに1に到達するまでの式の行数をここでは畳数と呼び、と書くことにする。
例えば、3と2の場合、で、,
である。
a,bに求める条件は、
1.3桁以下の整数である。
2.畳数が3以下である。
最も簡単に作るには、1からスタートして単純に足し算を繰り返せばよい。
要はフィボナッチ数列を考えればよいのだ。
フィボナッチ数列の隣り合う2つの項は、必ず互いに素、畳数になる。
つまり、8と5にすればよい。
畳数3程度ならば、excelなどでごり押してもよいと思うが、
畳数が常に3になるような2つの式を作ることが理想である。
フィボナッチ数列の2項は式で表せるのだから、できないことはないと思う。
判別式の作問
「が重解をもつときのmの値とその重解を求めよ。」のような
2次方程式の判別式の問題を作りたい。
作問にあたって満たしたい条件は、
1.の形であること
2.判別式からなる2次方程式を解いたときの解が整数であること
から、
判別式をDとすると、
2つの整数解をとすると、
cは平方数であればよい。
とおくと、
(複号同順) ただし、
60°の角をなす空間ベクトルの作問
1.60度の角をなす。
2.現れる成分がすべて整数。
を満たす2つのベクトルを作りたい。
平面上ではこのようなベクトルを作ることはできないが、空間上では可能である。
結論としては、
m,nを整数として、
で無限に生成できる。
方法はごり押しである。
とおいて、
60°の角をなす条件を整理すると、
ここで、左辺の平方されている数がすべて同じ値であると仮定して、
さらにここで、とおくと明らかに成立。
の仮定から連立方程式を解くと、
ちなみにのときは式同士が矛盾してうまくいかない。
とすれば条件を満たすことがわかる。
を満たすので、は正三角形をなす。
特にc=1のときのみを考えればよい。
のとき、この正三角形の各辺をに内分する点をとり、これらをつないでできる正三角形を倍に拡大すれば、条件を満たすベクトルを無限に作ることができる。
よって、
とすればよい。
もちろんこれはの張る平面上のものしか作れないので必要十分条件ではないが、作問には十分だろう。
45度の角をなす2直線の傾きの決定
2直線の方程式からなす角を求める問題を作りたい。
1.なす角は45度。
2.2直線の傾きはともに有理数。
生成する式はいくらでも作れる。
加法定理からごちゃごちゃ計算していたら、友人に次の図で瞬殺されてへこんだ。