作問の備忘録

テスト問題を作るときの、大した計算ではないけれども、やろうと思うとめんどくさいことどもを記録。

60°の角をなす空間ベクトルの作問

1.60度の角をなす。

2.現れる成分がすべて整数。

を満たす2つのベクトルを作りたい。

平面上ではこのようなベクトルを作ることはできないが、空間上では可能である。

結論としては、

m,nを整数として、

 \vec{a}=(2n-3m,3n-m,n+2m)

 \vec{b}=(-n-2m,2n-3m,3n-m)

で無限に生成できる。

 

方法はごり押しである。

 \vec{a}=(a,b,c),\vec{b}=(d,e,f)とおいて、

60°の角をなす条件を整理すると、

 (ae-bd)^2+(af-cd)^2+(bf-ce)^2=3(ad+be+cf)^2

ここで、左辺の平方されている数がすべて同じ値であると仮定して、

 ae-bd=ad+be+cf

 a(e-d)=b(e+d)+cf

さらにここで、 e-d=f,e+d=c,b=f,a=2cとおくと明らかに成立。

 ae-bd=af-cd=bf-ceの仮定から連立方程式を解くと、

 f=3c,\frac{d}{2}

 f=3cのとき、e=2c,d=-c,a=2c,b=3cとなる。

ちなみに f=\frac{d}{2}のときは式同士が矛盾してうまくいかない。

 \vec{a}=(2c,3c,c),\vec{b}=(-c,2c,3c)とすれば条件を満たすことがわかる。

 

 |\vec{a}|=|\vec{b}|を満たすので、 C(\vec{0}),A(\vec{a}),B(\vec{b})は正三角形をなす。

特にc=1のときのみを考えればよい。

 \vec{a}=(2,3,1),\vec{b}=(-1,2,3)のとき、この正三角形の各辺を m:nに内分する点をとり、これらをつないでできる正三角形を m+n倍に拡大すれば、条件を満たすベクトルを無限に作ることができる。

よって、

 \vec{a}=(2n-3m,3n-m,n+2m), \vec{b}=(-n-2m,2n-3m,3n-m)

とすればよい。

もちろんこれは \vec{a}=(2,3,1),\vec{b}=(-1,2,3)の張る平面上のものしか作れないので必要十分条件ではないが、作問には十分だろう。