作問の備忘録

テスト問題を作るときの、大した計算ではないけれども、やろうと思うとめんどくさいことどもを記録。

60度の角をもつ整数辺三角形の作問

次のような条件を満たす余弦定理の問題を作りたい。

1.3辺を与えて角を求める問題。

2.求める角は60度である。

3.3辺はすべて整数である。

4.正三角形は自明として避ける。

5.整数は最大でも16まで。

これらに当てはまる3辺の組を「解」と呼ぶことにする。 

 

 C=60°として、

 c^2=a^2+b^2-ab

から、

 a^2-ba+b^2-c^2=0

 a=\frac{b \pm \sqrt{b^2-4(b^2-c^2)}}{2}

 a=\frac{b \pm \sqrt{4c^2-3b^2}}{2}

4c^2-3b^2=k^2とおくと、

 (2c-k)(2c+k)=3b^2

 2c-k <  2c+k、またこれらの偶奇は一致する。

あまり良い方法も思いつかないので、しらみつぶしでやることにする。

 

 b=1のとき、

 (2c-k)(2c+k)=3

 2c-k=1,2c+k=3

 4c=4から c=1

このとき、 a=b=c=1で自明。

 

 b=2のとき、

 (2c-k)(2c+k)=12

 (2c-k,2c+k)=(2,6)

必ず自明(正三角形)の場合が1つ含まれるので、この時点で打ち切り。

ちなみに、 2c-k=bのとき自明である。

 b(2c+k)=3b^2

 b(2c+2c-b)=3b^2

 b(4c-b)=3b^2

 4bc=4b^2

 b \neq 0なので、

 b=cまた b=c=kで、a=\frac{b \pm b}{2}よって a=b=c

 

 b=3のとき、

 (2c-k)(2c+k)=27

 (2c-k,2c+k)=(1,27),(3,9)

(3,9)の方は自明。

(1,27)のとき、

 4c=28 から c=7 

 k=13で、a=\frac{3 \pm 13}{2}

 a=8,-5

 (a,b,c)=(8, 3, 7)が求めたい最初の解となる。

ここで、残りの a=-5に注目すると、実は(8, 5, 7)も解となる。

60°の場合、1つの解 (a, b, c)に対し, (a, a-b , c)も解となる。

一般に、 c^2=a^2+b^2-2ab\cos{C}を満たす (a, b, c)に対し、

 bを2a\cos{C}-bと置き換えたものも解となる。

 

 b=4のとき、

 (2c-k)(2c+k)=48

自明でないものは、

 (2c-k,2c+k)=(2,24),(6,8)

(2,24)のとき、

 4c=26から, c=\frac{13}{2}

しかしこれは有理数なので、2倍に拡大した三角形を考えることで解を求めることができる。

 b=8,c=13のとき、 (26-k)(26+k)=4 \cdot 48 から、k=22

 a=\frac{8 \pm 22}{2}

 a=15, -7

 (a,b,c)=(15,8,13),(15,7,13)

 2c-k,2c+kの偶奇は一致するので、和 4cの値は必ず偶数になる。

つまり、cの分母は1か2で、このような拡大は2倍の場合のみ考えればよいことが分かる。

(6,8)のとき、

 4c=14

 c=\frac{7}{2}これは2倍すると既出のものと一致する。

 b=8,c=7となるので、 a=5,3となる。

 

この先探索を続けると、2桁に突入し、結局条件を満たすものは(8, 3, 7),(8, 5, 7),(15, 8, 13),(15,7,13)ということが分かる。

 

ちなみに,ここから120°バージョンを作るのは簡単だ。

60°バージョンを解いたときの、負の方の解がそれにあたる。

例えば (a,b,c)=(8,3,7)を求めたときのもう一つのaの値は-5なので、

 (a,b,c)=(5,3,7)が120°の方の解になる。

 

45°や135°の場合

 c^2=a^2+b^2\pm\sqrt{2}abから、もちろんすべてを整数にすることは不可能なので、

 a=p \sqrt{2} (pは自然数)とおくと、

 c^2=2p^2+b^2 \pm 2pb

 c^2=p^2+(p \pm b)^2

ピタゴラス数1組に対し、3辺の組を1つ作ることができることがわかる。