作問の備忘録

テスト問題を作るときの、大した計算ではないけれども、やろうと思うとめんどくさいことどもを記録。

互除法の作問(フィボナッチもどきの利用)

互除法で余りが1になるまでの式の行数をコントロールしたかった。

作問の関係上、なるべく何の変哲もない数で、無限に生成できて、途中式の難易度もコントロールできるとなおよい。

 F_0=1,F_1=1,F_{n+2}=kF_n+F_{n+1}というフィボナッチもどきの数列を考えることにする。

k=1のときはフィボナッチ数列そのもので、これは隣り合う2項の畳数がどんどん増えていくのだった。

k=2のとき、きちんと証明はしていないが、どうも互除法の計算式がループし、畳数がループするようだった。初期値の与え方によってループの長さは変化する。

 

で、いくつか数を変えて試してみたところ、

どうも、 F_0=2,F_1=7,F_{n+2}=2F_n+F_{n+1}で生成される数列の隣り合う2項 F_n,F_{n+1}は、 n\geqq1のとき、常に畳数3になるようだ。

一般項は F_n=3\cdot2^n-(-1)^n (n\geqq0)である。

互いに素であることは簡単に示せる。

 ある k\geqq1 とする。 F_k,F_{k+1}に、共通因数 d\neq1が存在すると仮定すると、

 F_k=da,F_{k+1}=dbと表せる。

 db=2F_{k-1}+da

 d(b-a)=2F_{k-1}

ここで, F_0=2,F_1=7,F_{n+2}=2F_n+F_{n+1}から、各 F_n (n=1,2,3…)は奇数、 F_k < F_{k+1}なので、

 d,a,bは奇数、 b-a=2N(Nは自然数)と表せる。

 2dN=2F_{k-1}

 F_{k-1}=dN

 F_{k-1} dの倍数である。

これを繰り返すと、 k以下の項はすべて dの倍数となるが、

これは F_1=7,F_2=11に矛盾。

よって、 F_n,F_{n+1} (n\geqq0)は互いに素である。

 

さて、 n \geqq 1 F_n,F_{n+1}の畳数が3であることを示そう。

 F_{2k-1},F_{2k}(k\geqq 1)について、

 F_{2k-1}=3\cdot2^{2k-1}-(-1)^{2k-1}=3\cdot2^{2k-1}+1

 F_{2k}=3\cdot2^{2k}-(-1)^{2k}=3\cdot2^{2k}-1

 F_{2k}-F_{2k-1}=3\cdot(2^{2k}-2^{2k-1})-2

 F_{2k}-F_{2k-1}=3\cdot2^{2k-1}-2

 F_{2k}-F_{2k-1}=F_{2k-1}-3

 F_{2k}=F_{2k-1}+(F_{2k-1}-3)

また、

 F_{2k-1}-3=3\cdot2^{2k-1}-2\equiv1(\bmod3)

よって、

 F_{2k}=F_{2k-1}+(F_{2k-1}-3)

 F_{2k-1}=(F_{2k-1}-3)+3

 F_{2k-1}-3=3m+1(mは整数)

畳数は常に3である。

 F_{2k},F_{2k+1}(k\geqq1)について、

 F_{2k+1}=3\cdot2^{2k+1}-(-1)^{2k+1}=3\cdot2^{2k+1}+1

 F_{2k}=3\cdot2^{2k}-(-1)^{2k}=3\cdot2^{2k}-1

 2F_{2k}=3\cdot2^{2k+1}-2

 F_{2k+1}=2F_{2k}+3

また、 F_{2k}=3\cdot2^{2k}-1\equiv2(\bmod3)

よって、

 F_{2k+1}=2F_{2k}+3 \hspace{.5em}(k\geqq1なのでF_{2k} > 3)

 F_{2k}=3(2^{2k}-1)+2

 3=2\cdot1+1

畳数は常に3である。

ゆえに、 F_0=2,F_1=7,F_{n+2}=2F_n+F_{n+1}の隣り合う2項 F_n,F_{n+1}(n\geqq1)は畳数3である。