作問の備忘録

テスト問題を作るときの、大した計算ではないけれども、やろうと思うとめんどくさいことどもを記録。

有理化の作問

分母が何項までなら有理化可能か。

 \frac{1}{\sqrt{a_1}+\sqrt{a_2}+…+\sqrt{a_n}}ただし a_1,a_2,…,a_nは互いに素とする。

 

3項の場合

2つの項をひとかたまりとして2項のときの有理化をすればよい。

大事なのは、このとき項の種類が減るかどうかである。

 \frac{1}{\sqrt{a}+\sqrt{b}+\sqrt{c}}=\frac{1}{(\sqrt{a}+\sqrt{b})+\sqrt{c}}

 =\frac{\sqrt{a}+\sqrt{b}-\sqrt{c}}{(\sqrt{a}+\sqrt{b})^2-c}

 =\frac{\sqrt{a}+\sqrt{b}-\sqrt{c}}{a+2\sqrt{ab}+b-c}

 =\frac{\sqrt{a}+\sqrt{b}-\sqrt{c}}{(a+b-c)+2\sqrt{ab}}

分母は2項になっているので、ここからもう一度2項の有理化をすれば有理化は完了する。

 (\sqrt{a}+\sqrt{b})^2=(a+b)+2\sqrt{ab}

で、この部分の項の個数は変わらないが、残りが {\sqrt{c}}^2でcになるのでトータルで項は3項から2項に必ず減ることになる。

だから、心配せずに好きな数を選べばよい。

 

 

4項の場合

前半2項と後半2項でそれぞれひとかたまりとすればよい。

 \frac{1}{\sqrt{a}+\sqrt{b}+\sqrt{c}+\sqrt{d}}について、

 (\sqrt{a}+\sqrt{b})^2=(a+b)+2\sqrt{ab}, (\sqrt{c}+\sqrt{d})^2=(c+d)+2\sqrt{cd}

なので、トータルで4項から3項に減らせる。つまりこれも常に有理化が可能である。

しかし、4項の場合は、分け方が悪いとループにはまる。

3項をひとかたまりとすると、

 (\sqrt{a}+\sqrt{b}+\sqrt{c})^2=(a+b+c)+2\sqrt{ab}+2\sqrt{bc}+2\sqrt{ca}

で、3項から4項に増え、残りのdを合わせてもトータルで4項から減らないので、終わらなくなってしまう。

 

5項の場合

 \frac{1}{(\sqrt{a}+\sqrt{b})+(\sqrt{c}+\sqrt{d}+\sqrt{e})}

分子を書くのは面倒な上に今回無意味なので、Aと置くことにする。

 \frac{A}{(\sqrt{a}+\sqrt{b})^2-(\sqrt{c}+\sqrt{d}+\sqrt{e})^2}

 =\frac{A}{((a+b)+2\sqrt{ab})-((c+d+e)+2\sqrt{cd}+2\sqrt{de}+2\sqrt{ec})}

根号の外れた部分も面倒なのでまとめてCとおく。分母の真ん中に置くことにする。

 \frac{A}{2\sqrt{ab}+2\sqrt{cd}+C+2\sqrt{de}+2\sqrt{ec}}

 =\frac{A}{(2\sqrt{ab}+2\sqrt{cd}+C)+(2\sqrt{de}+2\sqrt{ec})}

 =\frac{A}{4\sqrt{ab}+2(2+e)\sqrt{cd}+C+8\sqrt{abcd}}

5項から4項になったので有理化可能。

 

6項になると、うまくいかない。

3つずつ組にしても前半4項、後半4項、そのうちまとめられるのは根号の外れた1つだけなので、トータルで6項から7項になってしまう。

2項と4項に分けても、前半2項、後半は7項となり、結局8項に増えてしまう。

 

この話は \sqrt{}の中が互いに素であることを前提としているが、含まれる項が \sqrt{ab},\sqrt{c},\sqrt{a},\sqrt{bc}という形になったりすると話はややこしくなってくる。

 また、 (a+b)(a-b)=a^2-b^2以外の式を利用して有理化ができる可能性はまだ残っている。