作問の備忘録

テスト問題を作るときの、大した計算ではないけれども、やろうと思うとめんどくさいことどもを記録。

式の不変と図形の不変

これは作問とは少しずれるが、今の教科書にはもっと、代数的な見方があっていいんじゃないだろうか。特に「対称式の問題」がただのテクニックの習得になってしまっていて、「対称式」という言葉をあてるのに相応しくないと思うのだ。

「対称式」という言葉を出す以上は、

・「対称式」と「対称式でない式」を生徒が区別できるようにする

・対称であることによって、どんなことが起こるのかを考察させる

ことが必須ではないか。

 

 対称式が自然に出てくるのは、2次方程式の解と係数の関係からだ。ここで解の入れ替えをしても係数が変わらないことに注目させるのはもちろんだが、さらに「入れ替えに関して不変」という性質をいろんなところで試してみるのはどうだろう。

「入れ替えても不変のはずの量」はどこにあるか。

例えば三角形だ。△ABCで辺が入れ替わっても不変でなけらばならない量とは何か。面積だ。じゃあ、面積の式は対称式かもしれない、と予想させた上で、ヘロンの公式を調べる活動を仕組めば、「入れ替えに関して不変」がよくわかるだろう。

一方で、「対称式で表された量」はどこにあるか。

例えば重心はどうか。3頂点のx座標、y座標をそれぞれ適当に入れ替えた三角形をいくつか作り、指の上にのせさせてはどうか。

複素数平面までやっていれば、解が複素数平面上で正三角形をなす3次方程式を作らせることもできるだろう。その3つの解が、1の3乗根の半径拡大・縮小、回転、平行移動で必ず表せることも示せるだろう。